骨董品の豆知識【戦国武将と骨董品編】

こんにちは、theou（ザオウ）バロー高山店Hです。今回は骨董品の歴史を語る上では欠かせない【戦国武将と骨董品編】です。

・戦国武将と茶器：前回の豆知識で戦国武将の茶器へのこだわりについて少し触れましたが、特に有名な戦国武将と茶器のお話を1つします。

戦国武将に『松永久秀』という人物がいました。彼は現代でいうところの『悪役』で、時の将軍暗殺を謀るは東大寺を焼き討ちするは・・・あの織田信長すら「あの男は普通の奴ならやらないことを（悪い意味で）成し遂げている」と言ってしまう程の大悪党でした。一方で松永は文化人としての教養は一流で、特に茶道に長け、茶器も色々揃えていたそうでその中に『古天明平蜘蛛』という茶釜がありました。ある時、上杉謙信と毛利輝元が信長を包囲した際に信長を裏切って城に立て籠もってしまいます。ですが信長はあっという間に松永を追い詰めます。実は松永はこの件の前にも信長を裏切っていて、その時は他の茶器を献上することで許してもらっていたのですが、二度目の裏切りの時に信長が裏切りを許す条件として所望したのは何と『古天明平蜘蛛』でした。今に伝わる信長の性格やエピソードを鑑みれば、茶器を渡すだけで裏切りを許してくれるなんてすごい寛大な処置なのですが、なんと松永はこれを拒否！それどころか大事な茶釜を壊し、爆薬を詰め込んで爆死（爆死ではなく放火のみの説もあり）という最期を遂げてしまいます。その時に詠んだ句というのが、現代語訳すると「平蜘蛛と自分の白髪首の2つ共を、信長の目には見せたくない」というもの。それだけ茶器への思いが強かったのが分かるエピソードですね。

・戦国武将と刀剣：これこそ「武将といえば！」といった骨董品です。中には戦争や火事で焼失してしまった物も多くありますが、現存する物の多くは国宝だったり博物館で保管されています。今回はそんな有名な刀について紹介します。これも織田信長の関わるエピソードになります。

ある日、信長に仕えていた『観内』という茶坊主（現代でいうところの給仕）が信長に対して無礼を働き、それに怒った信長が刀を持って観内を追いかけ回しました。慌てた観内は台所の棚の陰に隠れ何とかやり過ごそうとしていたのですが、信長は出てくるまで待つでも隙間から突くでもなく、何と棚に刀を押し当てて棚ごと観内を斬ってしまう荒業をしてしまいました。その鋭い切れ味からその名が付き、後に黒田官兵衛が中国攻めのアドバイスを信長にしたことでその褒美として贈られ、以来黒田家の家宝として所有されていた刀こそ『へし切り長谷部』です。某大河ドラマでもその名前を耳にしたことのある方も多いでしょう。へし切りは現在、国宝として福岡市博物館に所蔵されているとか。ちなみに『○○を切ったからこの名前』という刀や槍は多く、にっかり笑う幽霊を斬ったから『にっかり青江』、伊達政宗が小姓を手打ちにした時に後ろにあった燭台も斬ったから『燭台切光忠』、槍の先に止まっただけの蜻蛉が真っ二つになったから『蜻蛉切』等、色々出てきます。

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